【嶺二の百合が舞う瞬間を待っていた】マジLOVEキングダム初見感想

マジLOVEキングダム、舞台挨拶で初めて拝見したので感想というか、あの作品に対してわたしが思ったことをここに残しておきます。

するっと演出に対してのネタバレとか出てくるのでお気を付けください。

2019/6/24 追記
急いで書いたらいろいろ記憶違いもあったので修正。

上演形態、パンフレット、すべてがわたしの待っていた二次元ライブだった

わたしは声優さんのやってくれるライブもすごく楽しい、プリライでその楽しさを知りました。

それでも2009年に初音ミクちゃんがARでキャラクターとしてライブをしてくれたときは心の底から嬉しかったし言いようのないワクワクで未来が楽しみになった。

ずっとキャラクターがキャラクターとしてライブをして、周りすべてがそれを尊重してくれる日が来ないものかと思っていました。

みんなミッキーマウスはミッキーマウスだと思ってショーを見るじゃないですか。あれが欲しかった。

ショーの最後に”仮面ライダー”と握手ができる、そんな当たり前が欲しかった。

実際に美風藍と握手したいとかそういう事象が欲しいのではなくて、みんなショーが終わっても仮面ライダーのまま彼がで出てくるものと思っている意識。

当たり前すぎて改めて意識しろって難しいかもしれないけど。

それが少し叶った日であり、うたプリがそういう方向性の作品を作ってくれたことにこの作品のアイドルを好きになって本当に良かったと嬉しくてたまりませんでした。

上演形態などはこのあと語るとして、パンフレットのお話を。

わたしは豪華版を買ったので通常版とどの程度差異があるのかわからないのですが、パンフレットって大体、声優さん・制作のインタビューとか載ってますよね。

マジLOVEキングダムのパンフレットはキャラクターのインタビューとライブの演出の説明のみ、どこにも声優さんや制作サイドの名前が出てこないんです。

※最後のコーレス集には著作権上歌唱者名でついています

このライブはあくまでST☆RISH、QUARTET NIGHT、HE★VENSが演っているものだから。

もうその、設定が、決して声優さんや制作サイドをないがしろにしたいという意味ではなくて、そういう扱いで現実のものごとを進めてくれる事実にどうしようもなく嬉しくなる。

ここにST☆RISHはいたし、QUARTET NIGHTが踊ってたし、HE★VENSが歌ってた。

プロフィールも、美風藍なら美風藍の経歴が簡単に書いてあるんですよ、ドラマの話とか、すごく嬉しい。存在させてくれた、泣いてしまう。

わたしは制作サイドの話も大好きなので、STAFF SIDE BOOKも一冊として作ってくれて嬉しかったです。

深夜にロフトで制作のおじさんたちがお酒を引っ掛けながら話すイベントみたいなのに必死で参加する人間なのでかじるように読みます。

あとわたしが美風藍のファンだから、彼のインタビューにも言及させてください。

わたしにとってFLY TO THE FUTUREは思い入れのありすぎる曲で、この記事でも散々語ってるんですが。

FTTFの感想。彼らの"恋人"ではなく"ファン"として今まで応援してきた人間がこれまでとは違うアプローチの歌詞に大喜びした。マジLOVEキングダムという作品のスタンスがあくまで"アイドル"の側面だけをみせてくれる期待が詰まっている。

そのなかで初っ端から言ってるこれ。

歌い出しが藍くんなの本当にありがとうございます!!!!

あれ、カルナイ曲で藍が歌い出しってあったっけ?すごい感動した。

一番年下だけど引っ張っていくトップを任せてもらえた……いちファンとしてとても嬉しいです。

FLY TO THE FUTURE発売おめでとうございます より

これと同じ話題を彼がしていて、うおああああああ!!ありがとおおおおおおおお!!って叫びました、家で。

ファンとしてそういうリンクがたまらなくて、きっとみんなもそういうのがたくさんあると思う。

「マジLOVEライブ上映」という言葉

やってることは「応援上映」と変わらないかもしれない(実際映画館では便宜上「応援上映」のタイトルも合わせてついてる)。

でも美風藍をはじめシャニドル・ヘヴンズを「二次元のアイドル」として応援している身といてはこの言葉と上映に臨む自分の心との差異がなくてとても嬉しかったです。

わたしは藍くんに面白い声や声援をかけたいんじゃなくて、モブの悲鳴になりたくて。

藍くんが綺麗だねって思ってくれる会場中のペンライトのひとつになりたくて。

そういった意味でも「劇場でライブをするよ!」っていう作品の趣旨として「マジLOVEライブ上映」という言葉はすごくいいものを選んでくれたと思います。

もちろんこの上映を「応援上映」っていうのは通じやすい意味だし使うことに抵抗もないんだけど、自分は公式の用意してくれた「マジLOVEライブ上映」という言葉を使っています。長い。

二次元だからやってほしいことが詰まってた

二次元アイドル×ライブでわたしは何を一番夢見てたんだろう。

三次元にいかに近づくことだろうか。吐息や汗や毛穴が限りなくリアルになることだろうか。

それはいつか超絶リアルな絵画に対して「写真でいいじゃん」という話と同じ論争になってしまうと思うんです。

わたしは“嘘みたいに完璧な演出”が見たい。

具体的な話をするとまさにいい例が私の2017カルライの感想とマジLOVEキングダムの演出でありました。

ここの森久保さんは薔薇と傘を拾って歩く演出だったのですが、わたしの中のみんなが思った。

「薔薇拾っちゃったけどどうすんだそれ…」

「置いた…」

「次、傘拾っちゃったよ」

「…置くね……」

ハラハラしてました。

QUARTET NIGHT LIVEエボリューション 2017 感想 より

ここ!

これはどうしても薔薇を床に置くしかないと思うんですよね。

あるいは花瓶に挿すとか。投げてもいいんだけど。

現実のライブでは演出に使ったものはなかなか消えにくいし、ここでわたしはこんなことも言ってるんです。

こういうときARとかだったらぱーんと投げて宙で光に飛散したりしてスマートな演出もできるんだろうなって思ってました。

QUARTET NIGHT LIVEエボリューション 2017 感想 より

これがマジLOVEキングダムで叶いました。

しかも嶺二のユニットで。笑

演出としての百合の役目が終わった後は、空中へ飛散しました。

それそれそれそれ!!!!それが見たかったんだよ!!!!

現実世界として「それバーチャルだったの?」「素材は何?」とかそういう野暮な話じゃないんだ。

根拠がなくたっていい、その場でカッコイイ演出がみたい。

二次元ライブが三次元のリアルさを追うのはそれはある種のこちらへ近づいているという感動があります。汗が飛び散ったり、ハアハア息が切れて肩が揺れるのもすごいと思う。

でもわたしは極論、美風藍の毛穴をみたくはない。

リアルっていうのはわたしたちの生きているここがある限り頭打ちだと思うんです。

だからわたしはARをはじめ二次元ライブにはこちらへ近づく感動ぎりぎりまで寄ったあとは、夢を見せてもらいたいと思っています。

現実ギリギリじゃなくて、感動ギリギリの現実。

偉そうな曲なら間奏で突然玉座が表れて座って、また立ち上がって花道歩いてくるけど椅子はふっと消えたりとかそういうすべてフロントマンのために都合よく演出が動くのが見たい。

マジLOVEキングダムのすべてのグループ・ユニット曲は最高の夢物語がありました。

爆発をバックに大ジャンプしてなんの影響もないし。
リフボードよろしく謎の動力源で会場を飛び回るし。
ソーダ君という謎の生物がものすごい数出てくるし。
巨大な列車が会場を飛び回るし。

あるいはそれはわたしたちが現実のライブでありうる演出の、見たい部分だけトリミングしてくれているのかもしれない。

わたしも付き添いで何度かドームレベルの三次元アイドルを見に行ったことがあります。

すごい演出だった。原理もわかる、あそこにワイヤーが見える。
だけどそれを感じてる楽しんでいる私たちにはそれは関係ないんですよ。

そういう気分でした。

その一方で、ヘヴンズの登場シーンでワイヤーが見えることも「これは現実なんだ」ってすごく興奮します。

吊り方がたとえ非現実だとしても「ワイヤーで吊ってますよ」という演出としてのポーズを見せたいんだと思っています。(ヘヴンズの姿勢の話ではない)

あとは普通に、演出を盛る方向じゃなくて現実面のモデル作りこみすぎても今回の作品では面倒&意味を見出さないんじゃないかなあ。

いうなれば、ここでヘヴンズの背後にワイヤーが見えることで「謎技術じゃなくて、現実の理由もちゃんとあるんですよ」と言っているようなものでしょうか。

そこを詰めすぎるかどうするかがそのアニメのスタンスになるし、リアルならそういうアニメにするんだなって思います。

このマジLOVEキングダムは、トリミングされた夢の世界に少しの現実を置いておいてくれたので絶妙に楽しめる。

なによりそれを可能にしたのは歌っている彼らがずっとあの会場にいるからなんです。

推しなのでよく引き合いに出すんですけれども、 マジレボ美風藍とかはドラマ撮影中に突然翼が生えて飛んで歌い出したじゃないですか。

今回のマジLOVEキングダムはずっと会場にいて私たちを置いてけぼりにしないでくれた。

それが感動ギリギリの現実の大前提でした。

思えばマジレジェのSSSでもそうやって地に足を付けてくれてて、ライブはライブとしてずっとやってくれたうたプリがあったなって改めて感じました。(雷とか炎とかはすごいけど)

アイドルを応援することと、その結果でみんなと楽しむこと

アイドルの楽しみのひとつとして成長していく彼らが見たいだとか、頑張ってる姿を応援したいだとかそういうのもあると思います。

これまでのうたプリの作品で繰り返しアイドルとしての彼らの裏側を見せてもらったからこそ、わたしはその成果としてのライブが見たかった。

アイドル(特に昭和アイドルだと顕著なんだろうか)はそちらの面を売り物にする商売だと思ってるところもありまして。

現実を忘れさせてくれるほどの夢と現実を頑張れる元気をくれる、完璧な存在でいてほしい。

わたしはその名前の通り、偶像的にアイドルという存在が好きですし。

だから頑張ってる過程はもちろん好きだけど、それをファンに押しつけがましく売り物にするよりはそれを知っていたのが結果としてファンなんじゃないかと思う。

応援してきてよかったと思える福産物として初めて気づくもので、あんまり大見得切ってありきで売らないでほしい。

みたいな。

うたプリはそれをもちろんSSSでも見せてくれたし、シャイニングライブをはじめとするMVでも見せてくれました。

だけど、画面の向こうにいる”わたしたち”を巻き込んだ”ライブ”っていうのはこれまでになくて、地上波のテレビでもない、劇場にいるみんなとみるっていうスタイルがすごく楽しかったです。

だってみんなとコーレスしたいじゃん…。隣の知らんお姉さんもお兄さんも一緒になって。

プリライやARライブの代替品なのか

決してそうであってほしくはないと願っています。

劇場版に対しても失礼になってしまう。

プリライはお祭りだし、ARライブはよりアイドル対自分で楽しめるコンテンツだと思っていて、わがままで欲張りなファンなので全部ください。

感想文の趣旨とは外れてしまうけど、ARライブでこれまでの楽曲をリバイバルしてくれないかなって思います。そういうのができるし相性がいいと思うARライブ。

今回のマジLOVEキングダムですごく感じたのが転換時間や間のカット。

映像作品なので当たり前なんですけど円盤編集されたものを見ている構成です。

本来のライブであれば転換時間すら「次は誰が出てくるんだろう?」「次はきっとあの子だ…!」とかせいぜい2Daysなのでワクワクするけど、これは何回も見に来てもらうのを想定している分カットしててダレなくていいなって思います。

逆に考えると転換時間すら本来は不要で次々にアイドルちゃんぽんしたいのかもしれない。

でもわたしは一瞬の転換時間の緊張感が大好きです。

それとMC中の間の短縮。

MC自体は長かったんですが、話すテンポに反応を受け取る間が少なかったなって感じました。

実際のライブではファンからの声援や拍手などを受ける間を自然ととってしまうと思うのですが、それが短いというかなかったりもしました。

テンポよく各人しゃべっていくので、卒業式のセリフみたいな。

もっとキャーって言いたかったしMCの拍手とかが忙しかった。ぼさっとしてるとおいてかれてしまう。余韻が足りないというか。

そういうやりとりなんかはやっぱりプリライとかにかなわないなあって思います。

半分近くがMCのライブに初めて遭遇した

今回の構成はユニット曲はワンコーラス、グループ曲でフルコーラス、あとはMCです。

必然的に半分近くがキャラがあまり動かず立って話すだけのMCの時間です。

あんな盛大なステージに立っておいてそんなライブ、わたしは現実でみたことがありません。

でもあそこはこれまでのうたプリを始めとする各キャラのファンであるわたしたちへのサービスシーンでもあるんだと思います。

すごく見ていて楽しいんですよ、キャラが大好きだからこそ何気ないやり取りもすごく愛おしい。

セオリー通りの反応をしていても、そのセオリーがある君が好きなんだ。

現実のライブでもわたしはそういうところあります。

アイドルとしてその人自身も好きなときはMCも待ち遠しかったり。
バンドとして人間性より曲が好きなときはMCより一曲でも多く聴きたかったり。

タイトルが発表されてからずっとずっと待ってた、あるいはこういう形態の作品をずーーっと待っていたわたしにとって、キャラのそのライブや楽曲に対する話は楽しみにしていた分、プレゼントを紐解いてもらっているような時間でした。

そして一番最後の終わりの挨拶。

わたしはカルナイ加入から入ったので9年分まるまるではないですが、それでもあのST☆RISHたちの言葉を受け止めたこれまでのファンのことを思って涙が出てしまうタイプです。

そういう関係がそこにあることに感動してしまう。

物語のないライブだからうたプリですら初見でも十分楽しめる作りになってるとはいえ、正直うたのプリンスさまに思い入れのない人はあの少し長めのMCは退屈かもしれません。

考えてしまうと1時間以上ライブオンリーは予算的にやばいんだろうなとか勝手な空想をめぐらせたりしてしまいますが、モデリングや演出を細部まで追い込めない1時間以上のライブなら40分でできるだけ追い込んだライブのほうがわたしは嬉しい。

友だちを誘いやすくなった

うたプリはアニメしか見てない、けど最初に二次元アイドルコンテンツを盛り上げた作品だから気になるし、声優さんも気になるとか、わたしが散々良いと騒ぐからとか、そういういろんな興味で一緒に見てくれました。

今回の形態がライブで、昨今どんどん進化していく男性3DCGモーションの劇場版っていう期待で前売り券まで買って一緒に見に行こうねって言ってくれて。

そういう昔からの歴史と、新しいものをここに来ても作ってくれるうたプリがあるから見に来てくれるんだなって双方すごくありがたかったです。

あとはセットリストCD(劇場版の尺ですべての曲が入っているCD)があるのがすごくうたプリとしても初めて見に来る人への敷居を下げてくれたなって思います。

ライブ見に行くなら楽しみたいじゃないですか。

真面目に思う人ほど予習しなきゃとか思うじゃないですか。

でもライトならCD全部買うほどいきなりなことできないじゃないですか。

配信曲を一曲ずつ買うより安くて、全曲劇場版だけ楽しむなら十分ですよっていう素敵なセットリスト。

わたし自身も見に来てほしいって思ったら前売り券とそれを渡して一緒に行こ!って誘いやすくてすごく助かります。

それに加えて少し前からうたプリに参加してくれているHE★VENS。

新しいグループっていうのは長い作品ほど入りにくいけど、中のキャストさん含めすごく作品に対して前向きで臆せず「ああしたい」とか言ってくださるのがすごくありがたいんです。

そういう新しいグループがいることで彼らのファンになってまた見に来てくれる人も増えるんだろうなって。

わたしもマジLOVEキングダムで瑛一大好きになってしまったし、ヘヴンズのスタンス、楽曲の雰囲気がすごく刺さるんですよ。ペンライト欲しかったです(物販ペンラ瞬殺でした)

11人でユニットを回してきたところに彼らが入ることによって、ユニット自体がすごく新鮮に感じました。

物理的に声の引き出しが増えたっていうこともあるんだけど、これまで聞き慣れたシャニドルのすごくいいスパイスになるんですよね。

スタリともカルナイとも違うグループの形態をとってるのもイイ。

明確なリーダーとして鳳瑛一が統べてる感じがいいのですが、決して強制しているわけでなくヘヴンズメンバーが同調してるのがいいなって思います。

ポーズとしてリーダーの象徴として、ともすればピエロじみた役割で進めていく(ちょっと素かもしれない)役割が嶺二も似ているけど濃さがそれ以上でこれまでにない引力で好きです。

突飛なことや新しい視点の話とかはできなくて、面白い文章でもないなって書いてて自分でも思ったけどその当たり前だと思って喜んでることをちゃんと残しておこうと思いました。

良いと思ったことは黙殺されがちだから。